Hiroyuki Hal Shibata 『20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ』★★★★★(5)

9月 18th, 2010 by kiya Leave a reply »

「優れた本からは、内容以上に、生き方を学べる」

これが本書を読了した最初の感想だった。

本書では、著者がこれまでに数百万円(!)を投資した英語学習の経験を通して、徹底的に具体例を挙げながら、どういった英語学習方法が良いのかということが書かれている。

本書は、TOEIC 860点のレベル、すなわち第二外国語として意思疎通ができる十分なレベルをターゲットとしている。ただし、巷に溢れるTOEIC試験対策本と違う点は、「使える」英語をいかに効率よく身につけるか ということに焦点を絞っているところにある。

本書を読んで得られるものは、以下だと感じた。

  1. 全くの初心者から、TOEIC 860点以上 に達するまでに実施すべき学習方法、最短のルートが分かる
  2. 英語を学習することの意味、楽しさ、そのことによって広がる知の世界の一端を知り、モチベーションが高まる
  3. 著者の物事に対する考え方、対処方法から、戦略的な生き方を学べる

1. と 2. に関しては、読んでのお楽しみ。あまり多くは語らないけど、この本はいわゆる Real Time Saver であり、効果的な英語学習について書かれた良書であることは間違いない。私は(希望的観測も含め)TOEIC 860点 前後のレベルにあるが、少なくとも本書の中で7つ、すぐにでも実践したいと思える学びがあった。

ここでは、3. の部分をもう少し掘り下げてみたい。

本のテーマとしていること以外に、上記 3.で書いてあるようなことが得られる本というのは、さほど多くない。そのためには、単なる how to ではなくて、経験の共有、共感が必要だからだ。

私はここで「本書の文章は徹底的に構造化されている」ことに触れてみたい。

構造化というのはつまりこういうことである:

  1. 結論(主張)
  2. 結論を補足する文章(主張の理由)
  3. 結論をもう一度

構造化されている文章は、読みやすい。本書の読みやすさは特筆すべきだと思う。構造がシンプルであり、贅肉が省かれた、アスリートのような文章だ。そのため、内容がストレートに入ってくる。

同時に、上記の文章構造で書かれているために、2. 主張の理由 が「必ず」書かれており、かつ、それが経験に根ざした形で書かれている。すごく単純なことを言っているように感じるかもしれないが……理由がちゃんと書かれているということはものすごく大事である。その理由が自分にフィットするかどうかで、それを実践するかどうかを選べるからである。

(ちなみに、この構造化の大切さについては、本書中でも触れられている。私は常々、この著者の書く文章は、とてもよく構造化されていると感じていたが、その理由がよく分かった。)

そして、この経験の部分は、ちょっと感動モノであった。ここまで客観的に自分の現状を見つめ、戦略的にそれを乗り越えてきた人を、私は知らない。著者の人生そのものが構造化されているような印象を受けた。

主張を「借りて」書かれている本というのはよくある。著者が自分の経験を語っているのではなくて、あちこちの人が言っていることをまとめた本という意味だ。こういった本は一見それっぽいのだが、著者本人の経験に根ざしておらず、咀嚼されていないので、表面的であり、読んでも、実践になかなか繋がらない。

本書はちゃんと、著者の血肉で書かれている。そして、本書を読むことで、この研ぎ澄まされた考え方が、自分の血肉の一部になるような感覚がある。

私が「生き方を学べる」と言ったのは、そういうことである。

著者の今後に注目したい。彼の blog, twitter アカウントはこちら。

blog:  http://thewisdomofcrowds-jp.com/
twitter: http://www.twitter.com/HAL_J

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